先日あるお客様とのご相談の中で、
保有資産を動かす際に、
「利益が20万円以下だったら税金払わなくていいってネットにあったのですが…」
と訊ねられて、
その場で正確に回答できませんでした。
多くの方も、
この「税金を払わなくていい!」「税金を取られない」「課税されない」ことについてはご興味もおありかと思い記事にしました。
①なぜ(何を根拠に)20万円以下の儲けは課税されないのか?
②本当に20万円以下の儲けは課税されないのか?
③そのメリットとデメリット
これらについて解説していきます。
ではまず、
①なぜ(何を根拠に)20万円以下の儲けは課税されないのか?
私がご質問いただいたのは「投資で得た利益」が20万円以下なら…
というご質問でしたが、
これは何も投資で得た「譲渡所得」や「配当所得」に限定したものではありません。
実は、
「確定申告が必要な人」、
正確には、
「給与所得者で確定申告が必要な人」
についての国税庁の通達の裏返しの解釈によるものです。
該当箇所のスクショは以下の通りです。
詳細は国税庁Webページ「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」をご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
給与所得者の人は、
勤め先が「年末調整」を実施してくれていて、
これが「確定申告」の代わりになって、
給与所得者本人は確定申告をしなくていい制度になっています。
ですが、
上記のようなケースに当てはまる場合には
「年末調整」を受けている給与所得者であっても、
「確定申告」が必要 = 「確定申告」をする義務が発生するのです。
この中で、
「給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」とあります。
給与所得も退職所得も勤め先から受け取るものです。
なので、
「勤め先以外から20万円以上の所得があった場合は、確定申告をしなければならない」
ことになります。
これを裏返し、つまり逆に解釈すると
「勤め先以外からの所得が20万円以下なら確定申告はしなくていい」
↓↓↓
つまり「20万円以下の所得は課税されない」という解釈なっているというわけです。
②本当に20万円以下の儲けは課税されないのか?
実は、そうでもありません。
この税務通達は「確定申告をしなくていい」から結果として「課税されない」状況が発生しているに過ぎません。
つまり、
「非課税」と断定されている訳ではないのです。
具体的には
(1) (医療費控除・住宅ローン控除を受けるなど)他の事情で確定申告をする場合は、この20万円以下の所得も申告しなければなりません。
(2) この規程はあくまで国税である所得税法上のものであり、地方税である住民税には申告不要規程はないので、違法性が残る。
(3) 特定口座で源泉徴収ありを選択していると譲渡益・配当益が20万円以下でも課税され証券口座から源泉徴収されてしまう。
などがあげられます。
国税の考え方としては、
給与で基本的に源泉聴取が済んでいるなら、
たった20万円の所得のために確定申告されると
税務署業務に負担が増えるから、
その軽減を意図しているに過ぎないと筆者は感じます。
なので、
必要に迫られて確定申告をしたり、
別の源泉徴収制度を利用している場合には、
原則通り課税しますよ!
ということですね。
③そのメリットとデメリット
メリットは、
給与所得者で20万円以下の臨時収入しかないなら、
確定申告不要とされることで、
その20万円に課税されずに済みますので、
これはメリットだと言えます。
それが株式投資などで得た利益なら、
本来は、所得税と住民税・復興税をあわせて
200,000円 × 20.315% = 40,630円
を確定申告して納税すべきところ、
申告しなくて済むので、
税金も納めなくていい、
というのがメリットです。
デメリットは、
②で触れた通り、
地方税である住民税には20万円以下は申告不要との規程はないので、違法性が残ることです。
心配な方は都道府県税事務所・地方税事務所に相談されることをおススメします。
また、
医療費控除や住宅ローン控除を受けるために確定申告をする際は、
たとえ20万円以下であっても申告する必要があることも忘れてはなりません。
いかがでしたか?
今回は、
「20万円以下の副収入は税金が取られない!」
について検証してみました。
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