資本性ローンとは
※今回の記事は、法人限定の内容となります。
個人事業主や個人は対象となりませんので、ご注意ください。
日本政策金融公庫では、8月から「新型コロナ対策資本性劣後ローン」を融資のメニューに加えています。
新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/shihonseiretsugo_m.html
資本性ローン
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/shihonrtg.html
挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/57.html
初めて耳にする方もいらっしゃるかと思いますが、
ローンという名称からわかる通り融資(借入)の一種です。
資本性劣後ローンが他のローンと異なる一番のポイントは、
借入であるにもかかわらず、
金融機関の資産査定上は、
自己資本とみなすことができる、
という点にあります。
自己資本とみなすことができる、
資本に類似した性質があるので資本性という言葉が頭についているわけです。
なぜ借り入れを行っているのに、
金融機関は「負債」ではなく「自己資本」と捉えるのか?
その理由は、資本性ローンの返済時期にあります。
通常、企業は金融機関から融資を受けると、
毎月決められた額の元本+利息を返済します。
売上が順調に伸びていれば問題ありませんが、
もし利益が出ず赤字になっても返済は滞りなく行わなければいけないため、たちまち資金繰りが苦しくなります。
ところが、資本性ローンの返済は一定期間が経過した後(5~15年)の一括償還となります。
仮に3億円の資本性ローンを実行すると、
10年後に3億円を一括で返済するまでの間は、
金利だけを支払えば良いのです。
劣後というと何か不利なイメージがありますが、
劣後とは「後回し」という意味です。
何が後回しになるのかと言えば、
劣後ローンで資金調達した企業が万一倒産するようなことがあれば、
他の債務が優先的に返済され、
この劣後ローンの返済は後回しになりますよ、
ということです。
そのため、
貸し手である金融機関にとっては回収不能となるリスクが高い融資と言えます。
資本性劣後ローンを活用する最大のメリットは、
借り入れをしても自己資本として扱われるため自己資本比率が改善することとなり、
そのことから他の金融機関から融資を受けやすくなる、
という点にあります。
しかし、利率が高いというデメリットもあります。
利益と貸付期間・償却前の経常利益率によって利率が決定しますが、
場合によっては6.0%ほどになることもあります。
そのため、状況に応じて、上手く活用していくことが必要です。
たとえば、こんな状況が挙げられます。
①既に債務超過で、自己資本比率がマイナスになっている
②創業して間もないため、多少金利が高くてもキャッシュフローを改善したい
③保証協会の枠が埋まってしまっている
資本性ローンは金融機関にとってリスクが高い商品です。
そのため、融資を受けるには、
経営革新等支援機関の作成した『事業計画書』や『資金繰り表』が必要です。
さらに、融資実行後も予算と実績の管理、資金繰り表の提出などが求められます。
これらメリット・デメリットを考慮して、
活用なさることをおススメします。
「資本性ローンとは」へのコメント
コメントはありません