2022年6月6日の日本銀行の黒田総裁が講演で
『「家計の値上げ許容度も高まってきている」と述べた』と多くのメディアに取り上げられ、
価格上昇局面を30年ぶり、あるいは初めて体感するようになった国民の神経を逆なでした。
日銀の黒田総裁「家計の値上げ許容が高まっている」 円安は「経済全体としてはプラス」東京新聞
注目しておきたいのは、
“国民の神経を逆なでした”のは、
国民感情を煽ったのは、
“切り取り”報道をしたメディアの側であって、
黒田総裁ではありませんね。
【講演】
金融政策の考え方─「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現に向けて─
きさらぎ会における講演
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2022/ko220606a.htm/
全文PDF
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2022/data/ko220606a1.pdf
問題の“切り取り”報道された部分は、
「この結果自体は、相当の幅を持ってみる必要はありますが、ひとつの仮説としては、コロナ禍における行動制限下で蓄積した「強制貯蓄」が、家計の値上げ許容度の改善に繋がっている可能性があります。いずれにせよ、強制貯蓄の存在等により、日本の家計が値上げを受け容れている間に、良好なマクロ経済環境を出来るだけ維持し、これを来年度以降のベースアップを含めた賃金の本格上昇にいかに繋げていけるかが、当面のポイントであると考えています。」
いかがでしょうか?
冷静に読むと、
間違ったことを言っているようには見えません。
ところが、この総合的な発言を、
「家計の値上げ許容度も高まってきている」と
刺激的かつ扇動的に切り取られると、
価格上昇を30年ぶりに、あるいは初めて体感している国民にとっては、
感情的にならざるを得ないと言えるでしょう。
そのように
メディアに価格上昇への困惑・憤りを逆なでされて、
感情の行き場に困られているのでは?
と思われるTwitterユーザーから以下のようなやりとりがありました。
((((;゜Д゜)))マジですか?今回は、聞いてなくて、前回のですが、会見、記者さんとのやり取り、記者さんたちの方が、円安物価高騰、危機感あって、経済学的に、理が、あるように、感じたのですが。デフレから脱却の就任当時は、逆でしたが。
— mokochami (@tomochami123) June 25, 2022
わざわざお疲れ様ありがとうございます。しかしやはり就任当初から講演聴きに行ったりしたけど今の政策には残念ながら賛同できないようです。お客様やらご自身やら原材料費用・エネルギー価格上昇してその分価格転嫁・収入アップ同じスピードで出来ない場合決算・収支厳しくなり損じゃないのですか?
— mokochami (@tomochami123) June 25, 2022
大江英樹(@officelibertas)さん、mokochami(@tomochami123)さん、ツイートの当ページへの埋め込み失礼いたしました。削除が必要でしたら、azex@life-timers.comまでご一報くださいませ。
勝手に要約しますと…
今の日本銀行の施策には賛同できない。
原材料高・資源高が、
①価格転嫁されている。
②家計の収入は増えていない。
その結果、
企業も家計も苦しいだけだ。
ということではないでしょうか。
おっしゃっていることの要旨は、
全くその通りだと思います。
我が家でも、
様々な日用品の価格上昇に毎日ため息をついています。
勤めている妻は、
給料もボーナスも昨年と同じ。
だけど、価格上昇は毎日ボヤきます。
事業主の筆者は、
まだコロナ禍の影響が色濃く、
そこへ価格上昇の荒波をくらい、
不安定な売上に悩まされています。
目の前が真っ暗にも感じる状況です。
ですが、
もう少しだけ広く見てみると、
・日本の物価上昇率は世界的には極めて抑制されている
・金利が低く据え置かれているいるおかげで、融資を受けている企業も住宅ローン(変動金利)のある家計も金利コスト負担は抑えられている
・円安(自国通貨安)に見舞われている国も世界には20ヶ国以上あり、日本だけが異常ではない。
・円安は産業の6割が製造業である日本にとってはメリットも大きく、そのことが遅れて賃金上層につながることが期待できる
・段階的にインバウンド需要が戻る余地が日本にはあり、円安効果と相まって、特にコロナで打撃をうけた業種に回復効果をもたらすことが期待できる。
という側面もあると言えます。
では、
家計はどうすればいいのか?
コロナ危機に端を発した価格上昇は、
正直耐えるしか、受け止めるしかありません。
これを国や日銀のせいにして非難しても、
世界的な物価上昇は止められるとは思えませんし、
その中では日本は限定的とも言える価格上昇で助かっているとすら海外からは見えるでしょう。
これだけ変化の激しい時代に、
価格だけがずっとデフレだったことのほうが世界的には異常だと見られているようです。
変化を受け入れることは難しいですが、
自分で打開策を見出すことは難しいことですが、
今が正念場であることは確かだと思います。
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